(2018年11月23日 リライト)
新学期が始まって1週間たちました。
これから半年のクラスの雰囲気を決めるのは、
最初の1週間だって思っています。
なので、緊張しっぱなしの1週間でした。
「こうすればよかったな」って思ったところもあったけれど、
いいスタートがきれたかなって思います。
こんばんは。
わかばです。
今日は以前、記事で紹介した春休みに読んでおこうと思っていた本を
読んだので、その本の紹介をしようと思います。
今日はこの本を読んで私か理解したことを書きたいと思います。
たったひとつをかえるだけ

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
- 作者: ダンロスステイン,ルースサンタナ,Dan Rothstein,Luz Santana,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2015/09/04
- メディア: 単行本
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何を変えるのか?
それは、今までは授業の中で、質問をする側は教師でしたが、
質問をする側を学生に変えるということです。
つまり教師は学生に対して質問をしてはなりません。
教師の役割は学生の質問づくりの手助けをすることだけです。
これは教師の話を聞いて、知識を詰め込んでテストをしても、
すぐ忘れてしまい、結局何を学んだのかわからない今までの教育とは違い、
学生が自分で考え、クラスメートと分析し、自ら問いをたてることで、
知識と考える力を養うメソッドです。
質問の焦点とは?
何もないところに質問はつくれませんので、
まずは教師は「質問の焦点」を提示しないといけません。
質問の焦点というのは
生徒たちが質問を作り出すための引き金。生徒たちがそれをきっかけに考えて質問を作り出せるものであれば短い文章、あるいは写真や短い動画や表・図などの視聴覚教材など何でもかまわない。質問の焦点は、生徒たちの思考を喚起するために、従来使っていた教師からの発問の反対側に位置づけられるものである。
この焦点を定めるのは難しいです。たとえば「細胞」とか「高齢化」のように、
意味が広すぎてもよくないし、教師の好みや議論を誘導するようなものであっても、
よくないのです。
たとえば、本書の中の質問づくりの授業の例で、
拷問は正当化できる
という質問の焦点がありました。
学生は「拷問の定義は?」「拷問は今現在行われているか。」「目的は?」
「正当化するのは誰か?」など様々な問題をつくることができるというわけです。
発散思考と収束思考とは?
発散思考―多様なアイデアを考えだし、幅広く創造的に考えられる能力
収束思考―答えや結論に向けて、情報やアイデアを分析したり、統合したりする能力
まずは、グループになって自分が思いついた質問をたくさんだします→発散思考。
その間は、クラスメートも教師もその質問について評価したり、
コメントしたり答えをさがしてはいけません。
その後にグループで優先されるべき、質問を3つ選ぶのです。→収束思考
発散思考時に評価しないのがいいと思いました。
「その質問いいですね。」とか教師が言ってしまうと、
その教師の意図を汲んで、学生が質問をつくってしまうからです。
質問をつくったらどうするか?
質問をつくったら、それで終わりです。
答えをどうするか、本書には言及がありません。
それに対して「えー?その質問の答えをどうするの?」
と思ってしまいましたが、それはわたしが
教師は知識を与え、それについて、学生はわからないところを
質問し、また教師はそれに答えねばならないという常識を持っているからだと
気がつきました。
でも、自ら問いをたてられたのなら、
もう答えはみつけたに等しいのです。
自分で調べてレポートにすることも、プレゼンをすることもできるし、
それにまつわる文献を読みながら答えを探してもいい。
そしてさらなる問いを自分にたて続ければいいのです。
そして、それこそが学問なのです。
日本語教育に活かせるか
うーん、初級段階の文法や語彙を勉強している人には、
これは応用できないと思います。
けれど、中級や上級になって、
日本事情で日本の歴史や文化について勉強する授業があるなら、
それには活かせるのではないかと思います。
2018年11月23日(追記)==========
2016年に中級後半のクラスでやってみました。
「死刑制度はなくすべき」「過労死はブラック労働が原因」などの
質問の焦点を作って、質問を考えてもらいました。
本当にたくさんの質問が出てきましたが、
やはり、質問の焦点に自信がなく、ビデオを見せたり、
新聞記事を読ませたりしてから、質問を作らせていたので、
効果は???でした。ちゃんと記録しておけばよかった。
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人生に問いを。
では、また~。
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